肩腱板断裂を放置するとどうなる?

肩腱板断裂は、痛みが和らいだり日常生活が送れていることで、つい様子を見てしまいやすい疾患です。
しかし、断裂した腱が自然に元へ戻ることはなく、知らないうちに状態が進行することもあります。
今の症状だけで判断せず、肩の状態を正しく理解し、将来も無理なく使い続けるための選択を考えることが大切です。
整形外科河村医院の 肩腱板断裂治療
-

肩関節・スポーツ整形外科を専門とする医師が在籍し、肩腱板断裂の診断から治療まで総合的に対応
-

MRIやデジタルX線装置、超音波診断装置などの医療機器を用いて、断裂の程度や原因を的確に評価
-

スポーツ医学に精通した医師が複数名在籍し、競技特性や復帰時期を踏まえた治療・リハビリ計画を提案
-

約20名の理学療法士が在籍し、痛みの軽減から可動域改善、筋力強化、再発予防まで段階的にリハビリを実施
-

保存療法から手術治療まで幅広い選択肢を用意し、仕事・スポーツ・日常生活への影響を考慮の上、治療や手術のタイミングを決定
SUPERVISOR
この記事の監修者

日本整形外科学会専門医
これまでスポーツ整形外科や膝関節治療を専門に研鑽を積み、前十字靭帯断裂や半月板損傷など膝関節鏡手術を中心にスポーツ外傷や障害の治療・リハビリに携わってきました。一般整形外科に加え、肩関節脱臼などの専門手術も行い、地域の皆さまが安心して受診できる医療を心がけています。
肩腱板断裂とは?

肩腱板断裂とは、肩関節を安定させ、腕をスムーズに動かす役割を担っている「腱板(けんばん)」と呼ばれる筋肉と腱の集まりが切れてしまった状態を指します。腱板は主に棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋から構成されており、腕を上げる、回すといった日常動作に深く関わっています。
肩腱板断裂というと、転倒やスポーツ中の外傷によって起こるイメージを持たれがちですが、実際には加齢による腱の変性が原因となって発症するケースも非常に多いのが特徴です。
特に40代以降では、明らかなケガをしていなくても、知らないうちに腱板が傷み、やがて断裂に至っていることがあります。
そのため、「特別なケガをしていないから大丈夫」「年齢のせいで肩が痛いだけ」と考え、肩腱板断裂に気づかないまま過ごしている方も少なくありません。肩の痛みや動かしにくさが一時的に軽くなることもあり、症状が波打つことで判断が遅れてしまうこともあります。
POINT
肩腱板断裂は五十肩(肩関節周囲炎)と症状が似ているため、自己判断で様子を見てしまうケースも多く見られます。
しかし、五十肩と肩腱板断裂では病態や経過、治療の考え方が異なるため、正確な診断が重要です。
肩の痛みや動かしづらさが続いている場合には、単なる加齢や一時的な不調と決めつけず、肩の状態をきちんと評価することが大切です。
肩腱板断裂を放置してしまう理由

肩腱板断裂は、症状があってもすぐに受診につながりにくい疾患の一つです。
その背景には、いくつか共通した理由があります。
痛みが強い日と弱い日があるため様子を見てしまう
肩腱板断裂では、痛みが常に強く出続けるとは限りません。
動かした時だけ痛む日があったり、数日間は楽に過ごせたりと、症状に波があることが多く、「少し休めば良くなるのでは」と考えてしまいがちです。
実際に、痛みが一時的に軽くなることはありますが、それは断裂が治ったわけではなく、炎症が落ち着いているだけの場合も少なくありません。このため、受診のタイミングを逃してしまうことがあります。
五十肩や年齢のせいだと思ってしまう
40代以降になると、「肩が痛い=五十肩」「年齢によるものだから仕方がない」と考える方も多くいらっしゃいます。
肩腱板断裂は五十肩と症状が似ているため、自己判断で様子見をしてしまうケースも珍しくありません。
しかし、五十肩は時間の経過とともに自然に改善していくことが多い一方で、肩腱板断裂は放置しても自然に元の状態に戻ることは基本的にありません。この違いに気づかず、受診が遅れてしまうことがあります。
日常生活が何とかこなせてしまう
肩に痛みや動かしにくさがあっても、日常生活がある程度こなせていると、「まだ大丈夫」と考えてしまうことがあります。特に利き手でない側の場合や、無意識に肩をかばって動作を工夫している場合は、不自由さに慣れてしまうこともあります。
その結果、気づいたときには症状が進行していた、というケースも見られます。
肩腱板断裂を放置するとどうなる?
肩腱板断裂は、放置したからといってすぐに重い症状が出るとは限りません。
しかし、時間の経過とともに少しずつ状態が進行していく可能性があることが、この疾患の大きな特徴です。
痛みが慢性化し、夜間痛が出てくる
初期の段階では、肩を動かしたときだけ痛みを感じる程度のこともあります。
しかし、放置していると痛みが慢性化し、安静時や夜間にも痛みを感じるようになることがあります。
特に多いのが、寝返りを打った際に肩が痛んで目が覚める「夜間痛」です。
夜間痛が続くと睡眠の質が低下し、日中の疲労感や集中力の低下につながることもあります。
肩の動きが徐々に悪くなる
肩腱板は、腕を持ち上げたり回したりする際に重要な役割を果たしています。
そのため断裂を放置すると、肩の可動域が徐々に制限されていくことがあります。
最初は高い所の物を取る動作がつらくなり、次第に髪を洗う、服を着替えるといった日常的な動作にも支障が出てくることがあります。
こうした動作制限は、気づかないうちに進行している場合も少なくありません。
断裂が拡大し、修復が難しくなることがある
肩腱板断裂を放置していると、断裂した部分が次第に広がることがあります。
断裂が大きくなると、腱が縮んだり、筋肉が萎縮したり、脂肪変性と呼ばれる変化が起こることがあります。
このような状態になると、将来的に治療を検討する際、修復が難しくなる可能性があります。
必ずしもすべての方が手術を必要とするわけではありませんが、治療の選択肢が限られてしまうことがある点は知っておく必要があります。
肩腱板断裂は、「今が耐えられるかどうか」だけで判断するのではなく、将来の肩の機能をどう保つかという視点で考えることが大切です。
放置の影響は「年齢」と「肩の使い方」で異なります
肩腱板断裂を放置した場合の影響は、すべての方に同じように現れるわけではありません。
年齢や肩の使い方、生活背景によって、その進行の仕方や問題点は大きく異なります。
当院では、こうした背景を踏まえたうえで評価することを大切にしています。
スポーツや仕事で肩をよく使う方の場合
スポーツをしている方や、仕事で腕を頻繁に使う方では、肩腱板断裂を放置することで断裂部に繰り返し負荷がかかり、状態が進行しやすい傾向があります。
一時的に痛みが落ち着いていても、無意識のうちに肩を使い続けることで、断裂が拡大したり、症状が再燃したりすることがあります。
また、肩の安定性が低下することで、フォームが崩れたり、別の部位に負担がかかったりすることもあり、パフォーマンスの低下や再受傷のリスクにつながる場合もあります。
スポーツ整形外科の視点では、「今できているか」だけでなく、「この先も安全に続けられるか」という評価が重要になります。
高齢者の場合
高齢の方では、肩腱板断裂を放置することで、日常生活動作の低下が大きな問題となることがあります。
腕が上がりにくくなることで、洗濯物を干す、服を着替える、髪を整えるといった動作が徐々に難しくなり、生活の質が低下してしまうことがあります。
肩の痛みそのものだけでなく、将来的な自立した生活を維持できるかどうかを見据えた判断が求められます。
肩腱板断裂は自然に治ることはありますか?
肩腱板断裂と診断された際に、
「しばらく安静にしていれば自然に治るのでは?」
と考える方も少なくありません。
結論からお伝えすると、一度断裂した腱が自然に元の状態に戻ることは、基本的にはありません。
肩腱板は血流が豊富な組織ではなく、完全に切れてしまった場合、自力で再びつながることは難しいとされています。
ただし、ここで重要なのは、
「自然に治らない=必ず手術が必要」という意味ではない
という点です。
肩腱板断裂があっても、炎症が落ち着くことで痛みが軽減したり、リハビリテーションによって肩の動きが改善したりすることはあります。
その結果、日常生活に大きな支障がなくなり、保存療法で経過をみることが可能なケースもあります。
一方で、痛みが軽くなったからといって断裂そのものが治ったわけではなく、断裂した状態が残ったまま肩を使い続けていることになります。そのため、症状が再び悪化したり、断裂が広がったりする可能性がある点には注意が必要です。
肩腱板断裂では、
- 痛みの程度
- 肩の動き
- 年齢や生活スタイル
- 肩の使い方
などを総合的に考え、「今の状態でどのような治療が適しているか」を判断することが大切です。
自然に治るかどうかだけで考えるのではなく、将来の肩の機能をどう保つかという視点で治療方針を決めることが重要になります。
経過観察が可能なケースと早めに受診すべきケース
肩腱板断裂と診断された場合でも、すべての方がすぐに治療や手術を必要とするわけではありません。
大切なのは、現在の状態を正しく評価し、経過観察が可能かどうかを見極めることです。
経過観察が可能なケース
次のような場合には、医師の診察のもとで保存療法を行いながら経過をみるという選択が可能なことがあります。
- 痛みが軽度で、日常生活に大きな支障がない
- 夜間痛がほとんどない、または一時的である
- 肩の可動域が比較的保たれている
- 断裂の範囲が小さいと判断される場合
このようなケースでは、リハビリテーションや生活指導、必要に応じた注射治療などを行いながら、症状の変化を慎重に観察します。
無理に治療を進めるのではなく、状態を定期的に確認することが重要です。
早めの受診・治療が望ましいケース
一方で、次のような症状がみられる場合には、早めに医療機関を受診し、詳しい評価を受けることが望まれます。
- 安静にしていても痛みが続く、夜間痛が強い
- 肩が急に上がらなくなった、動かしにくさが進行している
- 痛みや動作制限のために仕事やスポーツに支障が出ている
- 症状が長期間改善せず、むしろ悪化している
これらの場合、断裂が進行している可能性や、肩の機能低下が進んでいる可能性があります。
早めに状態を把握することで、治療の選択肢を広く保つことにつながることもあります。
肩腱板断裂では、「放置してよいか」「治療を検討すべきか」を自己判断するのは難しい場合が多くあります。
そのため、症状の程度や生活への影響を踏まえ、専門的な評価を受けたうえで判断することが大切です。
よくある質問
一方、肩腱板断裂は腱が損傷・断裂している状態で、自然に元の構造に戻ることは基本的にありません。
症状が似ているため区別が難しく、画像検査などによる診断が重要になります。
保存療法で痛みや機能が改善し、日常生活に支障がなければ、手術を行わずに経過をみることも可能です。 大切なのは、今の状態と将来のリスクを踏まえて治療方針を選ぶことです。
・夜間痛が出てきた
・肩が上がらなくなってきた
・日常生活や仕事に支障が出ている
このような場合は、早めの受診をおすすめします。 早期に状態を把握することで、治療の選択肢を広く保つことができます。
まとめ
肩腱板断裂は、痛みが軽減したり日常生活が何とか送れたりすることで、つい放置されがちな疾患です。
しかし、断裂した腱が自然に元の状態へ戻ることはなく、時間の経過とともに症状が進行する可能性もあります。
放置してよいケースと、早めの評価が望ましいケースは人それぞれ異なり、年齢や肩の使い方、生活背景によって判断が分かれます。大切なのは「今が我慢できるか」ではなく、「将来も肩を無理なく使い続けられるか」という視点です。
気になる症状がある場合は、状態を正しく把握したうえで、適切な治療方針を検討することが重要です。
整形外科河村医院の 肩腱板断裂治療
-

肩関節・スポーツ整形外科を専門とする医師が在籍し、肩腱板断裂の診断から治療まで総合的に対応
-

MRIやデジタルX線装置、超音波診断装置などの医療機器を用いて、断裂の程度や原因を的確に評価
-

スポーツ医学に精通した医師が複数名在籍し、競技特性や復帰時期を踏まえた治療・リハビリ計画を提案
-

約20名の理学療法士が在籍し、痛みの軽減から可動域改善、筋力強化、再発予防まで段階的にリハビリを実施
-

保存療法から手術治療まで幅広い選択肢を用意し、仕事・スポーツ・日常生活への影響を考慮の上、治療や手術のタイミングを決定
サイト監修者について

整形外科河村医院 院長
日本整形外科学会専門医
河村 禎人
スポーツ整形外科や膝関節の治療を専門として努め、一般整形外科以外にも関節の変形による痛みに対してのリハビリなど手術によらない治療にも取り組んできました。
また、前十字靭帯断裂や半月板損傷などの膝関節鏡手術を中心として、スポーツ外傷、障害の手術やリハビリに取り組んでいます。


















