肩腱板断裂(損傷)
「腕を上げようとしても力が入らない」
「腕を上げようとすると、肩の前方で異音がする」
「夜になると、肩が痛い」
このような症状があるなら、肩腱板(かたけんばん)の断裂が起こっているかもしれません。
肩腱板とは、肩関節の中にあるインナーマッスルです。
肩や腕を動かすときに使う筋肉をつなぐ役割をしており、断裂が起こると動きにくさや痛みが生じます。
一度断裂を起こせば、自然治癒はしないため、適切な治療が必要です。
中にはだましだまし日常生活を送る人もいますが、悪化して痛みが増すケースも多いでしょう。
少しでも違和感を覚えたら、すぐに医療機関の受診をおすすめします。
SUPERVISOR
この記事の監修者

日本整形外科学会専門医
これまでスポーツ整形外科や膝関節治療を専門に研鑽を積み、前十字靭帯断裂や半月板損傷など膝関節鏡手術を中心にスポーツ外傷や障害の治療・リハビリに携わってきました。一般整形外科に加え、肩関節脱臼などの専門手術も行い、地域の皆さまが安心して受診できる医療を心がけています。
整形外科河村医院の 肩腱板断裂治療
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肩関節の専門である医師が在籍し、専門性の高い鏡視下手術にも対応
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MRIやデジタルX線装置、超音波診断装置などの医療機器で、高精度な検査・治療が可能
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スポーツ医学に精通した医師が複数名在籍し、競技特性に応じた治療法を提供します
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約20名の理学療法士が在籍しており、症状に合わせた段階的なリハビリテーションを実施します
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過去5年間で、膝や肩などを含め1000例以上の手術を実施
肩腱板とは

腱板(けんばん)とは、肩関節を支える以下の4つの筋肉の総称です。
- 肩甲下筋(けんこうかきん)
肩甲骨(けんこうこつ)の裏側から上腕骨(じょうわんこつ)に付いており、腕を内向きにひねるときに使う筋肉 - 棘上筋(きょくじょうきん)
肩甲骨の上部から上腕骨に付いており、腕を横に広げながら上げるときに使う筋肉 - 棘下筋(きょくかきん)
肩甲骨の下部から上腕骨に付いており、腕を外向きにひねるときに使う筋肉 - 小円筋(しょうえんきん)
肩甲骨の外側から上腕骨に付いており、腕を外向きにひねるときに使う筋肉
これらの筋肉が集まって、一枚の板のように見えることから、この部分を「腱板」と呼んでいます。
肩腱板の役割
肩は非常によく動く関節です。
肩を回したり、腕をあげたりなどさまざまな動きができます。
その分安定性に欠くため、支えとなるのが肩腱板です。
肩腱板が正常に働くことで、肩や腕の力をうまく使うことができます。
その結果、物を持ち上げる、投げる、腕をあげる、回す、といった動きがスムーズにできるのです。
肩腱板断裂(損傷)とは

肩腱板が切れたり傷ついたりしてしまうのが「肩腱板断裂(損傷)」です。
切れた腱は上向きにそり返り、腱峰(けんぽう)と呼ばれる、肩腱板の上にある肩甲骨の一部に接触します。
その結果生じる摩擦や、筋肉がうまく使えなくなったことによる異常な負荷によって炎症が生じます。
それが、肩や腕の不自由さや痛みなどの症状につながるのです。
肩腱板断裂(損傷)の原因

肩腱板断裂が起こる主な原因は、使いすぎなどによる強い負荷や劣化です。
具体的には以下のようなことによって生じるでしょう。
- スポーツ中の動作
ボールを強く投げるなど肩への強い負荷、テニスのサーブ練習を繰り返し長期間行うなどの反復動作による負担の蓄積 - 転倒などの怪我
転んで手をついた際の衝撃など - 老化
年齢による劣化や血行不良
肩腱板断裂(損傷)の症状

次のような症状があれば、肩腱板が断裂している可能性があります。
こんな症状は肩腱板断裂かもしれません
- 肩を動かすと痛い
- 特に何もしなくても、肩周りが痛い
- 腕を上げにくい
- 肩や腕に力が入らないと感じる
- 腕を上げると、肩の前部分で変な音がする
- 夜になると肩が痛む
また、肩腱板断裂は、その原因によって慢性障害・急性障害・外傷型障害の3種類に分類できます。
以下ではそれぞれについて解説します。
慢性障害
肩腱板が長い時間をかけて少しずつ傷つくことで起こる症状です。
日常的に肩腱板に負荷がかかることが原因で、完全に断裂してしまうことはあまりありません。
肩や腕の動かしにくさや痛みを徐々に感じるようになります。
日常的に肩に負荷がかかる人が発症しやすく、主に以下のような人に起こりやすいでしょう。
慢性障害の起こりやすい人
- 野球や水泳、バレーボールなど肩をよく回すスポーツを長年続けている人
- ウェイトトレーニングなどで肩を頻繁に酷使する人
- 建設作業など頻繁に腕の上げ下げをする仕事に従事している人
- 40歳以上の男性
肩腱板の断裂は、女性よりも男性に起こりやすく、特に40歳以上の男性の右肩に現れやすいといわれています。
また、発症する人が最も多いのは60代です。
よくある症状としては次のようなことが挙げられます。
- だんだん腕を上げにくくなる
- ︎徐々に肩に力を入れにくくなってきた
- 肩に痛みがあり、夜になると特に悪化する
急性障害
急激に肩に対して大きな負荷がかかることで断裂が生じた状態です。
完全に切れてしまったために、特定の動作が急にできなくなったり、ひどい痛みを覚えたりします。
起こりやすい場合とよくある症状は次のとおりです。
急性障害の起こりやすいケース
- 重いものを持つ、ジムでウェイトトレーニングをするなど、肩に急激な負荷がかかった場合
- 体操やテニスなどで、肩や腕を強くねじった場合
【急性障害で起こりやすい症状】
- 突然肩が激しく痛む
- ︎急に肩や腕を動かせなくなる
- 肩に力が入らず、重いものを持てなくなる
外傷型障害
衝突や転倒などの事故で、外部から肩に強い衝撃が加わることで腱板の断裂が起こることです。
直後から激痛があり、腕を動かそうとしても痛みで動かせないでしょう。
起こりやすいケースと症状は次のとおりです。
外傷型障害が起こりやすいケース
- 転倒や衝突によって肩を強く打撲したり、肩や腕を強くねじったりした場合
- スキーやスノーボード、ラグビーやサッカーなどで転倒や衝突をした場合
【外傷型障害で起こりやすい症状】
- 衝撃を受けた直後から激しく痛む
- ︎肩を動かそうとすると激痛が走る
肩腱板が断裂した場合は自然には治りません

一度切れてしまった腱板は自然に元の状態に戻ることはありません。
「痛まないから」「痛いけれど日常生活は何とか送れるから」と放っておくと、症状はどんどん悪化する一方です。
夜も眠れないほど痛みが増したり、関節が変形してしまったりする場合もあるでしょう。
腕が動かしにくいなど、肩に違和感がある場合は、自己判断によって放置せず、早めに医師による診察を受けることをおすすめします。
肩腱板断裂(損傷)の診断と検査

肩腱板断裂を起こしているかどうかの診断は、まずは問診や触診などで行います。
診察では「いつから痛み始めたのか?」「何かきっかけはあるのか?」など自覚症状を中心にお尋ねします。
また、触診や視診によって「肩はどの程度上がるか」「異音はしないか」「筋萎縮はないか」などを確認することもあるでしょう。
POINT
正確な状況の判断は画像検査によって行います。
画像検査といえば、最も一般的なのはレントゲン撮影ですが、肩腱板の断裂はそれだけでは診断できません。
レントゲンでは骨の状態しか確認できず、腱板が写らないからです。
正確な診断のためには、超音波検査(エコー検査)やMRI検査が必要です。
それぞれの検査では次のことをチェックします。
| 検査方法 | 確認できること |
|---|---|
| 超音波検査(エコー検査) | 腱板の断裂の程度、炎症の有無、動かした際の筋肉の様子 |
| MRI検査 | 断裂の位置や程度、断裂が部分的か完全なものか |
肩腱板断裂(損傷)の治療・手術

断裂した腱板は自然には治癒しません。
その状態に合わせて適切な治療を受ける必要があります。
保存治療
痛みが少ない場合や自然に断裂が起こる慢性障害の場合は、保存治療を行います。
これは手術をしない治療方法です。
具体的には以下のような処置を行います。
- 安静にすること
断裂の悪化を防ぐために、損傷部分をあまり動かさないように指導します。
重いものを持ち上げるような労働やスポーツはしばらく控えて頂くことになるでしょう。
急性障害の場合は三角巾による固定を行うこともあります。 - 薬物による治療
炎症の抑制や鎮痛のための内服薬や湿布薬を処方します。 - 注射療法
内服薬や湿布薬では痛みが収まらなかったり、眠れないほど痛んだりする場合はヒアルロン酸やステロイド注射をします。 - リハビリ
断裂していない腱板や肩甲骨周りの筋肉を鍛えたり、肩や腕の柔軟性を高めるためのストレッチを行ったりします。
症状の軽減や再発防止が目的です。
手術治療
怪我による急性障害や外傷型障害の場合は、手術によって断裂部分を縫合します。
手術の方法には、下記の2種類があります。
どちらがよいかはそれぞれの症状によるため、その状態に合わせてよりよい方法を提案させて頂くことになるでしょう。
| 手術の方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 切開による縫合 | 患部を切り開き、直接目で見て縫合する | ・直接確認できるため正確に行える ・複雑な症状でも対応できる | ・切開するために回復に時間がかかる |
| 関節鏡(内視鏡)を使っての縫合 | 肩に小さな穴を数ヵ所開け、そこから関節鏡(内視鏡)という超小型のカメラを挿入し、内部の状態を確認しながら縫合する | ・切開しない分、術後の回復が早い ・入院期間も短くて済む | ・複雑な症状には対応できない ・技術的に難易度が高く、対応できる医師が限られる |
術後から完治するまで

手術後は、患部の安静と周辺の筋肉が固くならないようにすることが大切です。
断裂を起こした部分を固定したり、適切なリハビリをしたりする必要があります。
日常生活に戻るには少々時間を要します。
入院期間について
肩腱板断裂の手術を行う場合、通常2〜4週間程度は入院することになるでしょう。
手術で縫合した腱が再び切れてしまわないよう、スリングや外転枕などの装具によって固定しておかねばならないからです。
入院期間は、損傷の程度や患者様の事情によって多少変わりますが、固定が外れるまでは病院で安静に過ごして頂くことをおすすめしています。
リハビリテーションについて
手術後は、理学療法士の指導の元、リハビリテーションを行います。
その内容は手術から経過した時間によって異なります。
ここでは、入院中と退院後のリハビリテーションについて紹介します。
入院中のリハビリテーション
入院期間中は無理な動きはしません。
患部の血行促進や筋肉の硬化防止を目的とする軽い動きが中心になるでしょう。
特に手術から1〜2週間の間は、理学療法士がゆっくり肩を動かしたり、肩関節や肩甲骨周りをマッサージをしたりするなど受動的なものが中心です。
その後は、様子を見ながら肩関節の運動や肩甲骨周りのストレッチなどを無理なく行っていくことになるでしょう。
他にも、日常生活に戻るために、固定具の着脱の練習をしたり、日常的によく行う動きを練習したりもします。
退院後のリハビリテーション
退院後も患部の様子を見ながら、理学療法士の指導の下、リハビリを続けます。
この時期は日常生活や仕事への復帰、自立を目指したものとなるでしょう。
肩関節や肩甲骨周りの筋力の強化や可動域を向上させるようなエクササイズが中心です。
固定具も段階的に外しながら行っていくことになります。
ただし、この時期もやはり無理は禁物です。
特に手術後3ヵ月までの間は再発が起こりやすいため、患部に負担をかけすぎるような動きをしてはいけません。
わからないことは医師や理学療法士に確認し、決して自己判断で無茶をしないようにしてください。
サイト監修者について

整形外科河村医院 院長
日本整形外科学会専門医
河村 禎人
スポーツ整形外科や膝関節の治療を専門として努め、一般整形外科以外にも関節の変形による痛みに対してのリハビリなど手術によらない治療にも取り組んできました。
また、前十字靭帯断裂や半月板損傷などの膝関節鏡手術を中心として、スポーツ外傷、障害の手術やリハビリに取り組んでいます。





















