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前十字靭帯再建術(ACL再建術)

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前十字靭帯断裂は、スポーツ中に発生する膝外傷の中でも、よくみられる疾患です。ジャンプでの着地や急な方向転換など、膝への急で過度な負担が原因で起こります。自然に治癒することはなく、放っておくと、急に膝の力が抜ける「膝崩れ」を起こしたり、半月板や軟骨など他の部位まで損傷したりします。長期に放置すると最終的には変形性膝関節症を発症する可能性もあるため、放置せずに早期に適切な治療を受けることが大切です。

本記事では、前十字靭帯断裂の治療法である前十字靭帯再建術(ACL再建術)について解説します。前十字靭帯断裂の治療を考えている方は、参考にしてください。

目次

膝前十字靭帯再建術(ACL再建術)とは

前十字靭帯再建術(ACL再建術)とは、断裂した靭帯の代わりに自分の体の別の部位の靭帯を移植する手術方法です。移植するのは、ハムストリングスと呼ばれる太ももの裏側の筋肉の「膝屈筋腱(ひざくっきんけん)」か、膝のお皿のすぐ下にある膝蓋腱(しつがいけん)という腱、太腿の前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉の腱などです。新しい靭帯を作って移植することで、正常な前十字靭帯と変わらない機能を取り戻せます。

また、内視鏡を用いた手術であるため、傷口が小さくて済み、術後の回復も早まります。スポーツ復帰を目指す方にも多く選ばれる手術方法です。

そもそも前十字靭帯とは

前十字靭帯とは、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)の後ろ側から、すねの骨である脛骨(けいこつ)の前側に付いている靭帯です。

前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい)は、大腿骨(だいたいこつ・太ももの骨)と脛骨(けいこつ・すねの骨)をつなぐ靭帯です。膝の安定性を保つ役割があり、脛骨が前に出過ぎないように制御したり、膝が回旋しすぎたりしないようにしています。

この靭帯に負荷がかかり、損傷を受けた状態が「前十字靭帯断裂(損傷)」です。

特にサッカーやバスケットボールなど、ジャンプや急な方向転換をする機会が多いスポーツや、ラグビーや柔道など、相手と接触するコンタクトスポーツをされる方によく見られます。

前十字靭帯の役割

前十字靭帯の役割としては、主に次の二つが挙げられます。

 

・前後に対する安定性:大腿骨に対して脛骨が前に出過ぎないように制御する

・回旋方向に対する安定性:膝をひねったときに回旋しすぎないように制御する

 

前十字靭帯を損傷すると、前後方向、回旋方向に付いて制御できなくなり、膝が不安定になります。

前十字靭帯断裂(損傷)の原因と症状

前十字靭帯に過度な力が急激にかかることが原因です。バスケットボールやバレーボールなど頻繁にジャンプする競技の着地時や、サッカーなど急な方向転換の起こりうるスポーツではターン動作の際に発症することが多くあります。他にも、ラグビーなどでタックルを受けたり、交通事故に遭ったりして、外から大きな力がかかることで受傷するケースもあります。

受傷時には、「ブツッ」という断裂音がして激しい痛みに襲われるのが特徴ですが、あまり強い症状を感じないこともあります。しばらくすると、断裂した靭帯からの出血により、膝の腫れがみられるようになることも多いです。

前十字靭帯断裂(損傷)は自然に完治することはありません

一度断裂した靭帯は、自然に治癒することはありません。放置していると、次のような症状が起こるため、早期に適切な治療を受けることをおすすめします。

前十字靭帯断裂(損傷)を放置すると

受傷直後には痛みや腫れの症状がありますが、放置するとその痛みは自然に改善します。しかし、靭帯が自然に治ってつながることはありません。痛みが消えたからと言って、前十字靭帯が断裂したままスポーツを続けていると、膝くずれが起こります。膝くずれとは、膝に力を入れられないために、突然ガクッとくずれてしまうことです。膝くずれを繰り返すと、二次的に半月板や軟骨などの膝周辺の他の組織にまで損傷が起こります。最終的に変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)を起こし、膝が変形して日常的に痛みに悩まされるようになる可能性があります。スポーツ復帰には前十字靭帯の再建手術が必要です。

前十字靭帯再建術(ACL再建術)の手術方法について

前十字靭帯再建術の手術方法には、主に次の二つがあります。

鏡視下解剖学的2重束再建術(STG法)

本来、前十字靭帯は前内側線維束(AM束)と後外側線維束(PL束)という二つの線維束からなるものです。従来は1 本の太い再建靭帯を作ることで対応してきましたが、AM束とPL束は機能分担をしているために、それでは正常な前十字靭帯の機能を十分には取り戻せませんでした。

鏡視下解剖学的2重束再建術は、2本の再建靭帯を作ることで、前十字靭帯本来の構造に近づけ、その機能をほとんど正常に回復させる手術法です。具体的には、ハムストリングスの膝屈筋腱を、前十字靭帯の位置に移植します。

手術には内視鏡を用いるので、傷口も比較的小さく、体への負荷も比較的少なくて済む方法です。

鏡視下解剖学的四辺形BTB再建術(BTB法)

膝蓋腱という膝のお皿と脛骨をつなぐ腱の一部を採取して、靭帯を再建する方法です。腱の両端に骨片が付着した状態で移植するので、骨と骨で治癒することからしっかり固定しやすいというメリットがあります。元々の前十字靭帯の位置に正確に移植することで本来と同程度の機能を取り戻せます。コンタクトスポーツへの復帰を目指す場合には良く選択されます。

この方法も内視鏡を用いるので、患部を大きく切開せずに済みます。

どの装具療法によって安定性を高めることになります。

前十字靭帯再建術(ACL再建術)の合併症について

術後の主な合併症としては以下のようなものが挙げられます。

 

・しびれ

・痛み

・腫れ

・筋力低下

・膝の曲げ伸ばしがしにくい

・細菌感染

・深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)

 

これらのうち、術後のしびれや痛み、腫れは一時的なもので、1~2週間程度で自然に治る場合がほとんどです。筋力の低下や膝の曲げ伸ばしのしにくさは、リハビリテーションによって改善します。術後は適切なリハビリを行うことによって、筋力改善、可動域改善を行います。

細菌感染については、手術前後に抗生物質を投与して予防しますが、関節鏡を用いた手術においては、一般にその発生率は0.5%以下といわれており極めてまれです。

また、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)は、血管内にできた血栓が詰まってしまう疾患です。術後に膝を固定しますが、手術中にはパンピング装置を用いたり、早期から足関節の運動を行うことや、弾性ストッキングを用いて予防することで、前十字靭帯再建術で起こすことは非常にまれです。

手術の流れ

前十字靭帯再建術(ACL再建術)は通常、次のような流れで進みます。

手術前リハビリテーション

術後の経過を良好にするためにも、手術前にもリハビリテーションに取り組みます。主に次のようなことを目標とします。

 

・膝関節周辺の炎症をなくす:術後に膝が固まって動きにくくなるのを予防する

・膝関節の可動域の回復:あらかじめ膝の固まりを解消することで、術後のリハビリがスムーズに進められるようにする

・大腿四頭筋やハムストリングスの筋力強化:術後の筋力低下を最小限に抑える

 

通常、週に1~2回程度通院してリハビリを受けることになります。膝崩れを防ぐために、手術までの運動動作は原則として控える必要があります。必要な筋力訓練は継続してください。

手術

膝崩れを通常は術前検査を経て手術前日(或いは前々日)に入院し、手術直前のバイオデックス(筋力測定装置)による筋力測定を行い、術後のスポーツ復帰の目安にします。

手術からの経過時間 主なリハビリの内容
直後 ・患部のアイシング ・術後翌日から膝の痛みをみながらリハビリを開始します。 して着地したりするときに膝を支える
1週間 術後痛みのない範囲で足首の運動や足の指のグーパーの体操を行います。 リハビリ後や毎食後、寝る前にアイシングを10〜15分行います。膝を動かさない筋力訓練も併用します。
2〜3週間 術後1〜2週間は装具固定を行います。その後、手術した膝の曲げ伸ばしを行います。
4週目〜 術後2週間目で体重の⅓をかける練習、3週間目で体重の⅔をかける練習、4種間目で全体重をかける練習を行っていきます。 体重をかける割合や膝の状態に応じてリハビリメニューの追加や更新を行っていきます。
1〜3ヶ月(日常生活動作改善のためのリハビリ) 術後1か月で松葉杖なしでの歩行が可能になり、次第スポーツ復帰に向けたトレーニングを段階的に開始していきます。 【主なトレーニング】 ・両足スクワット ・片足スクワット ・フロントランジ ・ニーベントウォーク(両足スクワットの姿勢のまま歩く)
3〜4ヶ月 ・ジョギング ・その他基本トレーニング+マシンによるトレーニング
6ヶ月(スポーツ復帰に向けたリハビリ) 術後半年程度でバイオデックスという筋力測定装置を用いて測定を行い、十分な筋力回復が得られていれば、スポーツ復帰に向けたジャンプ動作や切り替えし動作の練習を行っていきます。 【主なトレーニング】 ・両足スクワットからのジャンプ(前後左右) ・台からのジャンプ ・片足スクワットからのジャンプ(前後左右) ・ストップ動作練習 ・ターンの学習 ・ジグザグ走 ・バランス練習 等
8ヶ月〜 スポーツ復帰の許可が出たら種目別に応じたトレーニングを行っていきます。 反復練習を行い、動作が安定かつ痛み無くスムーズに行えていればスポーツ復帰となります。

手術後のリハビリテーション

手術後は、まずは日常生活への復帰を目指してリハビリテーションに取り組みます。その目的と内容は時期によって異なり、具体的には以下の通りです。

スポーツ復帰に向けてのリハビリテーション

スポーツ復帰に向けてのリハビリテーションは、スポーツ動作に備えるためのリハビリテーションを行う時期と、本格的な競技復帰に向けたリハビリテーションを行う時期の2段階で進めます。

術後6週から12週までは、日常生活の復帰に向けたメディカルリハビリテーションの時期です。スクワットやランジなど太ももの筋力トレーニングやステップ動作、片足バランスなどを行うことで、筋力アップとバランス感覚の向上を目指します。また、軽いジョギングを開始し、持久力の回復を図ることもあります。

12週以降になると、いよいよスポーツ復帰を目指すアスレティックリハビリテーションを開始します。ランニングの他、日常生活動作などのスポーツ復帰に特化したリハビリに取り組みます。手術から6ヵ月程度経過し、膝の安定性の回復が確認できれば、ジャンプやバランス訓練、アジリティドリルを経て医師と相談しながら、徐々に本格的に競技復帰できます。

よくある質問

ここでは前十字靭帯再建術(ACL再建術)について、よくある質問とその回答を紹介します。

入院期間はどれくらいですか?

手術後は2~4週間程度のリハビリを入院で行うことが一般的です。手術直後は膝に痛みや腫れが見られるため、鎮痛剤の投与や患部の冷却をしながら、安静に過ごすことになるでしょう。術後の固定期間は術式によりますが、約1~2週間程度です。松葉杖を使用した歩行の練習も開始されるでしょう。手術によって固まった膝の可動域がある程度回復して安定して歩行できるようになれば退院可能となります。早期の退院プログラムでは、予期しない荷重など再断裂リスクもありますので、無理な早期退院は勧められません。医療機関により許される入院期間も異なりますので、松葉杖での退院が困難な場合には、十分な術後の入院リハビリ期間が提供される医療機関を選ぶことも大切です。予め、どの程度の術後の入院期間が許されるかは術前に確認することが望ましいです。

 

また、階段の昇降を自力でできる程度まで回復してからの退院を希望される場合は、4週間程度が目安です。

通学や通勤はいつから再開できますか?

術後2〜4週間程度経過した頃です。それくらいの時期であれば、装具や松葉杖を使用しなくても歩行や階段の昇降が可能になります。それ以前の復帰は、装具や松葉杖などの使用が必要で、早期の復帰を目指す場合には医師と相談する必要があります。

どれくらいでスポーツ復帰できますか?

競技やご本人の能力、症例などによりますが、術後6ヵ月程度で、医師と相談しながら少しずつ復帰を始められます。ただし、完全復帰は尚早で、8〜9ヵ月程度はかかると考えておいてください。

自転車はいつ頃から乗れますか?

自転車は転倒や事故により、再発のおそれがあるため、医師の許可を得てからにしてください。通常であれば、術後2ヵ月程度で短時間、短距離の走行であれば可能とされるケースが多いでしょう。

手術にかかる費用はいくらくらいですか?

損傷の程度や手術方法、入院期間などによって異なります。大体の見積もりは、受診のうえ医師に尋ねてください。尚、入院費用は医療機関によって大きく異なります。主に病棟に勤務する看護師数や様々な加算が多いと入院基本料は高額になります。大学病院などの大病院は入院費用が最も高額で、一般病院は中間、有床診療所は最も低額となります。医療機関による入院基本料の差は約2~3倍程度とされています。心臓病や肝臓病などがあって手術のリスクが高い場合には、看護師数や医師が多い大病院を選択するほうが安心ですし、合併症のないスポーツ選手の膝の手術などでは、大勢の看護師数は必ずしも必要ありませんので、病院の規模に過度にこだわる必要はないでしょう。むしろ、手術の実績や手術後のリハビリの充実が大切ですので、理学療法士の勤務数や、休日の理学療法の有無なども参考にすることをお勧めします。理学療法士の数は入院基本料には直接は反映されません。

整形外科河村医院では、入院前に高額療養費制度について担当者からご説明をしています。

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サイト監修者について

整形外科河村医院 院長

河村 禎人

スポーツ整形外科や膝関節の治療を専門として努め、一般整形外科以外にも関節の変形による痛みに対してのリハビリなど手術によらない治療にも取り組んできました。
また、前十字靭帯断裂や半月板損傷などの膝関節鏡手術を中心として、スポーツ外傷、障害の手術やリハビリに取り組んでいます。