腰痛症
腰痛症とはABOUT
腰痛症とは、その名の通り腰が痛くなる病態ですが、特定の病気を指すのではなく、腰痛を引き起こす様々な疾患の総称です。
腰には、「腰椎」と呼ばれるブロックのように積み上げられた5つの背骨が構成されており、腰痛の多くはこの「腰椎」に負担がかかったり、障害が起きることで発症が見られますが、他にも様々な原因で腰痛は起こります。
腰痛は、発症して1ヶ月以内の『急性腰痛』とおよそ3か月以上症状が継続する『慢性腰痛』に分けられます。
腰痛の多くは治療に急を要するものではありませんが、中には重大な疾患がひそんでいることもあり、症状が続く場合は原因を調べることが望ましいです。
腰痛の治療においては、まずは原因を調べて、それに応じた適切な治療を行うことが大切です。
腰痛症の原因CAUSE
腰痛は背中や腰の骨、筋肉の異常から発症するものや、日々のストレスなど精神的なものが関わっているものまで、原因は様々で複数の要因が関与することも少なくありません。
特別な原因が見当たらないわゆる「非特異的腰痛」とよばれるものもありますが、一般的に腰痛を引き起こす代表的な疾患である『腰椎椎間板ヘルニア』『変形性腰椎症』『腰部脊柱管狭窄症』『腰椎分離症』『骨粗鬆症』『坐骨神経痛』について説明します。
腰椎椎間板ヘルニア
背骨の間には、クッションの役割をする椎間板という部分があります。椎間板の内部にあるゲル状の髄核という部分が、加齢などが原因で外側に飛び出してしまい、神経を圧迫することで痛みやしびれの症状が起こります。
変形性腰椎症
腰椎が年齢と共に変形を生じ、腰椎間の椎間関節や椎間板の変性などを伴って腰痛を引き起こす状態です。
腰部脊柱管狭窄症
脊髄(神経)が通る管である脊柱管が狭くなって神経が圧迫される病態で、腰痛以外にも下肢の痛みや、長時間の歩行が困難となる間欠性跛行が生じます。
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは、骨の密度が低下して骨がもろくなり、骨折がしやすくなる状態のことを言います。骨粗鬆症があると、しばしば腰痛を伴うことが知られています。
腰椎分離症
スポーツを行う成長期に生じやすい腰痛です。腰椎の椎弓といわれる部分に負担が集中して生じる疲労骨折が原因です。早期に治療すれば骨の癒合が得られて完治しますが、進行すると骨の癒合は難しくなります。早期の発見にはMRIが必須です。リハビリによる体幹や下肢の柔軟性の獲得が、治療や予防に重要です。
坐骨神経痛
座骨神経痛は、本来は疾患名ではなく症状を表す用語ですが、腰から足にかけて伸びている人体の中で最も太くて長い「坐骨神経」がさまざまな原因によって圧迫・刺激されることで、腰やお尻、太ももや足の先などに痛みやしびれるような痛みが出る症状のことを指します。
ぎっくり腰Acute low back
突然に強い腰痛が生じる急性腰痛を、いわゆる「ぎっくり腰」と呼びます。正式な疾患名ではありませんが、一般にはよく使われる言葉です。適切な加療を行えば急性の強い腰痛は比較的早期に改善することが多いのですが、重篤な疾患が潜んでいないか、調べておくことが重要です。
腰痛症の診断・検査DIAGNOSIS
腰痛症は、原因が様々ですので理学所見や検査から総合的に診断を進めます。
問診、理学所見
いつからどのような腰痛があるのか、下肢の痛みはあるか、などの問診や、痛みの場所やいくつかの理学所見を参考にします。
検査
骨の状態や不安定性を見るためにレントゲン(単純X線検査)は必須の検査です。また症状によりMRI検査で椎間板や脊髄(神経)の状態を確認します。また、状態によっては炎症や合併症の確認のため血液検査を行うこともあります。
腰椎症の治療TREATMENT
整形外科河村医院(大阪市港区/弁天町、朝潮橋)では、腰痛症の治療をそれぞれの症状・原因によって、適切な治療の組み合わせを選択しています。
薬物療法
炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬(ロキソニンやボルタレン等)、筋肉の緊張を和らげる筋弛緩薬(テルネリンやミオナール等)、オピオイド受容体に作用して痛みを和らげるオピオイド系の製剤(リリカ、トラムセット、ノルスパンテープ等)などが用いられます。また、病態によっては、抗うつ剤(サインバルタ、トレドミンなど)が用いられることもあります。
硬膜外ブロック療法
硬膜外ブロック療法は、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みを和らげる治療法です。麻酔薬が作用することで、痛みの伝わる経路をブロックすることで痛みを取り除きます。薬物療法や理学療法(リハビリ)と併せて、複数回実施するのが一般的です。
理学療法(リハビリ)
体の柔軟性の低下や体幹筋(コアマッスル)の筋力低下など動作の変化が腰痛に影響を及ぼしていることがわかってきました。 柔軟性の向上や体幹筋訓練(ドローイン)などは直接的に腰痛の治療や予防に役立ちます。これらを取り入れたリハビリは重要です。また、「温熱療法(ホットパック、マイクロ)」「牽引療法」「電気刺激療法(低周波)」「マッサージ」などの物理療法を併用して、積極的な腰痛加療を行なっています。